お知らせ
ブナ科樹木萎凋病(通称:ナラ枯れ)
( カシノナガキクイムシ : 雌成虫の背中の菌嚢 )
町田市では、3年程前からブナ科樹木萎凋病が市内公園緑地で拡大を見せています。
小山田緑地から小野路緑地、薬師池の緑地から三輪緑山緑地まで
市内ほとんどの公園緑地でナラ枯れ被害を見ない緑地はない状況といえます。
今回、カシノナガキクイムシ被害防除対策を御依頼をいただいたのは、
東京都町田市相原町にある臨済宗のお寺・清水寺。
このお寺の社叢林には、町田市が天然記念物指定をしているアカガシ群落があります。
この清水寺のアカガシ群落の常緑性ブナ科樹木について、
幹や根本からカシノナガキクイムシのフラス(穿孔虫の糞と木くずの混じったモノ)が
2022年9月に確認されたようです。
天然記念物アカガシ群落の常緑性ブナ科樹木について市内のコナラ・クヌギと同様、
ただ枯れるのを待てない為・何か出来る対策を講じたい、
との理由から日尚園に御相談をいただきました。
( ※ブナ科樹木萎凋病 : 通称ナラ枯れとは、カシノナガキクイムシが樹体内部に菌を持ち込むことによって通水阻害を引き起こし重症化すると枯死する病気 )
早速、同内容で施工中の同業樹木医に連絡をいれ
殺菌剤樹幹注入および殺虫剤樹皮散布の併用で
枯損に至る常緑性ブナ科樹木の有無を確認したところ、
当該樹木医より現在のところ施工緑地で枯損は見られない、との情報を得れたので、
クライアントに殺菌剤樹幹注入および殺虫剤散布の併用実施を提案致しました。
その際、ネット設置も併せてのご依頼をお受け致しました。
まず、実施する業者には、
関東各地でカシノナガキクイムシ防除施工実績を持ち、
NPO樹の命を守る会(千葉県内の樹木医・緑の技術集団)の会報
2021年度5月15日発行 第19号のなかでカシノナガキクイムシ防除事例として
掲載がある株式会社三商の小谷和之樹木医にお願いすることにしました。
そして、今回の作業内容は、今後、常緑樹に対するカシノナガキクイムシ防除対策なる
樹木医活動として貴重な検証と成りえる、
と感じたので清水寺住職にお願いして、樹木医研修を実施させていただくことにしました。
施工樹木の前で施工内容の説明
清水寺駐車場で各自自己紹介
(樹木医実地研修の様子・2023.2.27)
樹木医研修実施日は、朝早くから
危険木診断・腐朽空洞測定専門の樹木医さん・
薬剤散布・樹幹注入専門の樹木医さん・
環境専門学校教員の樹木医さん・
樹木医・森林インストラクター活動で全国で活躍されている先生・
町田市の職員の方々に集まっていただいて
株式会社三商の小谷樹木医よりカシノナガキクイムシ防除作業を
生で実施していただき、わかりやすく理解することが出来ました。
今回、樹幹注入作業を実施する樹木は、常緑性ブナ科樹木(総称カシ)。
カシ類の道管(養水分の通り道)の配列は、木口面から見た場合放射状に見えるため、
放射孔材と呼ばれます。
枯損が多く報告されているブナ科樹木は、ミズナラ及びコナラなど落葉性ブナ科樹木で
道管(養水分の通り道)の配列を木口面から見ると年輪幅の片側に大きな道管が並ぶ。
このような材を環孔材と呼びます。
環孔材は、温帯以北の冬が厳しい気候の樹木にみられ、
春になって十分気温が上がってから、急速に成長を始める樹木の特徴です。
( 環孔材の例 )
萎凋病とは、道管内水分が切れて枯れてしまう病気のことで・
養水分を葉に送り届ける事が出来なくなってしまい枯れてしまう病気です。
このため環孔材の樹木ほど、カシノナガキクイムシの被害が深刻化する傾向にあります。
樹幹注入およびネット設置作業は2月27日、28日の両日行い・無事に完了致しました。
また、相原町・清水寺さんの御協力によって、
ベテラン樹木医のカシノナガキクイムシ防除を真近で確認および研修することができました。
清水寺さんどうもありがとうございました。
次回は、カシノナガキクイムシ防除対策第二段として
5月頃および8月頃に薬剤散布を予定しております。
その節は、どうぞよろしくお願い致します。
余談ですが、
相原町の清水寺さんは、
天然記念物アカガシ群落で有名なだけではなく、町田市指定有形文化財でも有名なお寺です。
下の写真にある観音堂は、見ていてハッと息を吞むとても貴重な文化財です。
( 相原町清水寺観音堂 )
(雲龍と唐獅子の緻密な木造建造物)
( 青龍 )
( 朱雀 )
町田市指定有形文化財にふれる機会をいただけましたこと
こころから感謝いたします。
重ねてお礼申し上げます。
本当に貴重な機会を与えていただき、どうもありがとうございました。
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